ソフトバンクとPayPalが日本の決済市場を変える
PayPal Here
ソフトバンクとPayPalの合弁会社『PayPal Japan』が、スマートフォン用のカードリーダーと専用アプリケーションにより、クレジットカードやデビットカード、及びPayPalでの支払いを受け付けられるようにするサービス『PayPal Here(ペイパルヒア)』を日本市場に導入すると発表し、また、ソフトバンク社長孫正義氏は『日本の決済市場を変える』と高らかに謳っている。その『PayPal Here』だが、どのようなサービスなのかを紐解いてみる。
PayPal Here(ペイパルヒア)のビジネスモデルとはどんなものか
スマートフォンに磁気ストライプのリーダー機能を持ったデバイスを装着し、専用アプリケーションをダウンロードすることで、スマートフォンをカード決済端末として利用するといった、PayPal Here(ペイパッルヒア)のビジネスモデルは決して目新しいものではないという。すでにアメリカではSquare(スクウェア)やPAYware(ペイウェア)という先行モデルがあり、PayPal Here(ペイパッルヒア)はこれに追随した形となっているようだ。日本国内においてもこれらと同様のサービスが実用化されている。
ソフトバンクグループとしては、これまでに無い全く別のビジネスモデルで決済ビジネスの基盤を拡大できる戦略商品を手に入れることができる意味はとても大きいものに違いない、と思える。スマートフォンの付加価値を高めることによる携帯電話事業とのシナジー効果も期待できるだろう。
PayPal Here(ペイパルヒア)のサービスインは2012年9月
PayPal Here(ペイパルヒア)のサービスは2012年9月から取り扱いが開始されているようだ。PayPal Here(ペイパルヒア)はソフトバンクショップや取扱店などソフトバンクグループの販売チャネルで申込み・契約手続きをすることができる。法人・個人ともに申込み可能。
申込みに必要な書類
法人の場合
以下の3つのうち1つの書類を提出する必要がある。
・登記簿謄本(抄本)
・履歴事項証明書
・印鑑証明書
このほか、来店者の在籍確認書類として社員証や名刺、勤務先の記載がある健康保険証の提示も求められる。
個人の場合
運転免許証、パスポートなどの本人確認書類が必要となる。
カードリーダー
PayPal Here(ペイパルヒア)専用のカードリーダーは契約時にソフトバンクショップ等で購入でき、価格は1200円(オープン価格)程度のようだ。PayPal Here(ペイパルヒア)を利用するにはPayPal(ペイパル)のアカウントを開設する必要があるが、その手続きについてもソフトバンクショップでできる。
PayPal Here(ペイパルヒア)対応スマートフォン
カード決済端末として利用できるスマートフォンは以下の通り。
・ソフトバンクのiPhone
・同上iPad
・同上iPad mini
・Android OSのソフトバンクスマートフォン201HW
・同上201M
・同上107SH
・同上104SH
・同上101DL
・同上009SH
・同上003SH
専用アプリケーションもiOS版とAndroid OS版がある。
加盟店審査
加盟店になるには審査が行なわれる。法人でも個人でも本人確認手続きが済めば利用できるが、規約等で制限されている禁止されている商品・サービスの販売には当然のことながら利用することはできない。また、個人の場合は20歳という年齢制限があるが、事業を営んでいる必要はないということだ。こうして準備が整えばクレジットカード決済を受け入れられるようになる。
中小企業におけるクレジットカード決済導入の障壁を取り払う
ソフトバンクとPayPal(ペイパル)が記者会見で、PayPal Here(ペイパルヒア)の利便性以外にも強調していたことがあるという。それは、日本の雇用の70%を支え、約500万社に上る中小企業が、下のような理由によりクレジットカード決済から疎外されていたという現実。
・カード決済端末は10万円以上する
・立替払い金の入金までに15〜30日を要する
・5〜8%の決済手数料がかかる
こうした3重苦が、中小企業店舗にとってクレジットカード決済導入の障壁になっていたとソフトバンクの孫正義社長はいい切ったという。
これからの時代、スマートフォンを持っていない人がいなくなるであろう社会が到来する中、スマートフォンをカード決済端末にすることでクレジットカード導入のコストを一気に引き下げ、中小企業の参入障壁をなくしてしまうのがPayPal Here(ペイパルヒア)を推進する目的だということだ。さらに孫社長は、「日本の中小店舗がクレジットカード決済の恩恵に浴することができれば、来店客が増えて客単価が向上し、中小店舗の活性化が図れる」と強調している。さらに、「これからはオンラインの世界とオフラインの世界が完全に融合し、双方が顧客を誘導しあうようになる。当然、決済も一体化される」とも発言している。
一方のPayPal(ペイパル)は、2012年8月に資金移動業としての登録が完了し、クレジットカードを原資とする決済(送金)もアカウントの残高による決済も、日本国内で合法的に展開できるようになっている。
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