進むスマートフォンの決済端末化
現在急速に普及しつつあるスマートフォンがクレジットカードのビジネスモデルを大きく変えようとしている。
というのも、スマートフォン、カードリーダー、専用アプリケーションの三つのアイテムを組み合わせることでスマートフォンをカード決済端末として活用していこうという動きが日本を代表するネット市場の旗手ソフトバンク・楽天そして通信業界最大手のNTTドコモで活発化しているからだ。
こうしたカード業界にとっては異業種ともいえる企業がカード市場に参入していくことでカード市場がどう変わっていくのか、その動向を予想してみたい。
市場予測を上回るスマートフォン普及スピード
ある団体の調査によると、2012年7〜9月期におけるスマートフォンの出荷台数は前年同期比50.2%増の急速な伸びを見せて797万台に達しているそうだ。年換算で3188万台ということになる。
MM総研という、スマートフォンの市場予測で定評のある団体が2012年3月に予測した2012年度の出荷台数は2790万台だったそうなので、市場の実勢はこの予測を大きく上回っていることになる。
また、インプレスR&Dというところで2012年11月20日に公表した調査結果では、個人のスマートフォン利用率は同年10月時点で39.9%に達したとしている。この数字は2012年5月時点の29.9%からわずか5ヵ月で10%上昇した格好になる。
こうしたスマートフォンの急速な普及状況をにらみ、クレジットカードの分野でもスマートフォンという新しいデバイスをカードビジネスに活用しようという動きが活発化している。
スマートフォンは様々なアプリケーションをダウンロードでき、拡張性や多機能性に優れているという特質があり、これを生かせばスマートフォンを多用途的に活用することが可能になるため、クレジットカード会社もスマートフォンに対していろいろな可能性を見出しているようだ。実際、最近よく耳にする『スマホ決済』という言葉が生まれているのもこのためなのだろう。
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